要約
- オススメの業界本を紹介しています。
導入
個人投資家はプロの投資家に比べて使えるリソースが少ないことが最大の不利な点です。ですが、それは個人投資家がプロの投資家に劣る市場の見立て/運用しかできない、ということではありません。
幸い、プロの投資家が市場/経済に対する見通しを立てるための基本となるノウハウは本にまとまっています。そこで、今回は業界の定番本にどのようなものがあるのかを紹介します。
本を購入するには若干のお金がかかりますが、それに基づいて運用成果を伸ばせるのであれば、十分いい投資になると思います。
また、証券(特に外資系銀行)、資産運用などといった業界に就職を考えている学生は面接などの前に以下の本を読んである程度知識を身に付けることをお勧めします。
- 要約
- 導入
- 投資/金融市場に興味を持っている方(超初心者)向け
- 投資信託(&仕組債)の種類や特徴について知りたい方向け
- ニュースの見方などわからない方(初心者)向け
- テクニカル分析を学びたい方向け
- 各商品に関してより知識をつけたい方向け(中級者向け)
投資/金融市場に興味を持っている方(超初心者)向け
藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義
![[改訂新版]藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書) [改訂新版]藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/31jfPmPfEbL._SL160_.jpg)
[改訂新版]藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)
- 作者: 藤巻健史
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/03/16
- メディア: 新書
紹介:伝説のトレーダー、藤巻氏の本です。藤巻氏は今でもおそらく日本人投資家の中で唯一世界的に知られている方で、一時は東京市場の取引はほとんど藤巻さんがしていたといわれるほど伝説的な方です。ちょっとした投資戦略等のコツも書いてあり、基礎がわかっている投資経験が長い方も、藤巻氏の一読の価値があります。
長所:砕けた文体で読みやすく、主に為替、債券の見方についてかなり基礎(円安、円高とは何かなどのレベル)から語られています。また、経済や統計の見方に関しても紹介しています。(藤巻流のところもありますが笑)
投資信託(&仕組債)の種類や特徴について知りたい方向け
デリバティブ・証券化商品入門―金融マンのためのこれ1冊でわかる

デリバティブ・証券化商品入門―金融マンのためのこれ1冊でわかる
- 作者: みずほ証券マーケット研究会
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
紹介:タイトルは難しそうなものの、個人投資家に売られている得体のわかりづらい仕組債/証券化商品を各種、簡単に解説してくれています。仕組債/証券化商品は定期預金や国債より金利が高く人気が出てきていますが、いまいちどんな商品かわからずとりあえず投資している方もいるのではないでしょうか。この本を読めば大体の仕組債/証券化商品がどんな商品なのかわかると思います。
長所:仕組債、REITなど一見複雑な商品を図付きで分かりやすく紹介されています。例えばリバース・フロータやリンク債、EBなどといったいかつい名前がついている商品に関しても図付きで分かりやすく紹介されています。また、先物/オプション/スワップ/CDS/CDOなどといったデリバティブに関しても紹介があります。
ニュースの見方などわからない方(初心者)向け
投資家のための 金融マーケット予測ハンドブック
紹介:証券業でプロとして働くにあたって必ず最初に読む本で、個人投資家はこの一冊があれば十分ともいえます。手の届く範囲に置いておきたい本です。この本の内容がわかり、投資に活かせれば個人投資家としては上々だと思います。テクニカル分析に関しては量が少ないため、後述の先物市場のテクニカル分析を推奨します。この本を読めば、各商品/各国についてのニュースの見方/おおまかな市場(マクロ)の動向があらかたわかると思います。
長所:網羅的に全ての分野(商品別/国別)について必要なことが書かれています。商品別では個人投資家が手の出せる範囲の商品ほぼ全て、国別でも主要国のマクロ経済についてはほとんど書かれています。テクニカル分析や各国中央銀行(主に日銀/Fed(FRB)/ECB)の政策の読み方も書かれています。
記載内容
- 商品...債券(金利)、為替(FX)、株、商品先物(コモディティー)
- 国別...日本、米国、欧州、経済、オセアニア(オーストラリア/ニュージーランド)、BRICs(中国/インド/ロシア/ブラジル)、ASEAN(インドネシア/シンガポール/タイ/ベトナム)
テクニカル分析を学びたい方向け

先物市場のテクニカル分析 (ニューファイナンシャルシリーズ)
- 作者: ジョン J.マーフィー,日本興業銀行国際資金部
- 出版社/メーカー: きんざい
- 発売日: 1990/05
- メディア: 単行本
紹介:テクニカル分析(チャート分析)のバイブル。テクニカル分析について網羅的に書かれています。チャート分析のみならず、オシレーターなどについても記載。先物市場のと銘打っていますが、テクニカル分析は商品を問わずなので、現物株式、FXでも適用可能です。
長所:とにかくわかりやすく書かれています。チャートパターンなどは図もしっかり記載されており、だましなどテクニカル分析に必要なことは一通り書かれています。
各商品に関してより知識をつけたい方向け(中級者向け)
株式についてより知りたい方向け
ここでは純粋に株式についての本を紹介しています。株式市場の見通しを立てるためには経済史について詳しくなる必要もあります。ここで紹介する株式の本では記載がないですが、為替または債券の本には経済史が記載されています。
財務会計講義
紹介:証券のみならず、会計業においても必読書とされる本で、わかりやすくかかれています。個別企業の分析をするにあたって財務諸表は必ず読まなくてはなりません。また、この本と合わせて以下の財務諸表分析という本を読むことも推奨されます。
余談:大まかに必要な会計知識は当サイトの以下のリンクからも学べますが、しっかりと学びたい方は本を手に取るとよいでしょう。
株式運用と投資戦略―株式ポートフォリオ運用の理論と実務
紹介:株式業務に携わるなら証券業界に入れば必ず読む本。アナリストの予想をどう見るかやどのような運用スタイルを取るかなどかなり実践的な内容が多く含まれています。
長所:プロ向けに書かれた本で、かなり実践的な内容が多く含まれています。ここまでできれば個人投資家としては完璧に近いと思われます。
外国為替(FX)についてより学びたい方向け
プロ投資家のための外国為替取引
紹介:外国為替取引高世界一位であった外資銀行UBSによって書かれた外国為替(FX)についての本です。現場のプロのとしては物足りないのは事実ですが、個人投資家としては大いに有用な本であると思います。
長所:各国の通貨の特徴、為替リスク管理の手法や為替に大きな影響のあった経済史についても記載があります。
債券(金利)についてより学びたい方向け
紹介:債券業務に関わる上での必読本とされています。かなり専門的な内容も多く、個人投資家が行える債券の投資は限られているため、個人投資家にはかなりオーバースペックな本ですが、かなりしっかり債券投資について書かれています。
長所:経済史や債券の種類などについて網羅的に書かれている。外債投資についても書かれています。
現代の投資について知りたい方向け(中級~上級者向け)
資産運用の本質 -ファクター投資への体系的アプローチ
紹介:現代の投資戦略として主流になりつつある、ファクター投資について書かれた本です。著者は世界一の資産運用規模(AUM)を誇るBlack Rockのファクター投資部の部長を務めている方が出版しています。実際にファクターの計測は困難を伴うと思われますが、考え方は知っておく必要はあると思います。
長所:基本的なファクター投資の考え方と株と債券への応用について言及されています。現時点ではファクター投資の考え方に重点を置いた本は洋書でもあまりなく、その点この本は個人投資家でも一読の価値があると思います。
ソロスの錬金術
紹介:ヘッジファンドの祖である、著名投資家ジョージ・ソロス氏によって書かれた本です。彼は10年間で資産を35倍にした驚異的な投資家です。このような異常な業績を生み出した彼の市場の見方を惜しみなく紹介してくれる本です。また、ソロス氏は哲学者でもあり、思わぬ発見も多くあります。
長所:伝統的に言われてきた「効率的市場仮説」を完全に否定することで、市場で成功する市場に対する考え方を教えてくれます。また、これが現代の市場の見方の基本となっています。短期資金を回すトレーダーを目指すのであれば必須の本です。